脳神経外科

第22回肥土脳機能マッピング学会を2020年3月6-7日 札幌で主催します。

プログラムをみていただくと大変充実した内容になっています。English sessionも設けました。皆様の参加をお待ちしています。


http://www.c-work.co.jp/jhbm22/index.html



English Session: http://www.c-work.co.jp/jhbm22/spprogram/index.html



脳の病気と症状

  • 頭痛:突然後頭部をバットで殴られたような強い頭痛はクモ膜下出血を疑います。
  • 吐き気: 上記の頭痛と同時に吐き気・嘔吐を繰り返すときもクモ膜下出血を疑います。
  • 意識障害:意識障害はクモ膜下出血、麻痺を伴う時には脳梗塞・出血を疑います。
  • 顔面のけいれん: 片側の眼、口角周囲の不随意に起こるけいれん、緊張などで悪化します。
  • 顔面の痛み: 顔面の半側、眼、口角に食事・洗顔で電撃痛が誘発される病態です。

        顔面けいれん・三叉神経痛は2cmの小開頭で血管と脳神経神経を離します。
          約1週間で退院できます。

  • 失明・半盲・視力障害: を自覚した時は: 下垂体・後頭部に脳腫瘍を疑います。下垂体は脳底部の真ん中に位置していますが、鼻腔経由で摘出が可能です。後頭部腫瘍は通常開頭で摘出します。
  • 手足の麻痺; 手足を動かす線維の圧迫が原因です。大きな脳腫瘍、脳幹部腫瘍で起きることが多いです。脳梗塞、脳出血、モヤモヤ病でも起こるますですので、早期受診が重要です。: 
  • 手足のしびれ・痛み; 主に脊椎ヘルニア、頚椎症、脊髄腫瘍などで自覚します。症状が徐々に進行しますが、まずMRIによる精密検査が重要です。
  • 歩行障害; 上記のように脊髄病変、まれに頭蓋内に髄液(水)がたまる正常圧水頭症、頭部外傷後1か月ほどで頭蓋内に血液が溜まる慢性硬膜下血種などがあります。脊髄疾患はしっかりと診察、検査ををした上で、どの脊椎・脊髄の治療をするが慎重に議論します。
  • 認知症状:回復できる認知症です。慢性硬膜下血種、正常圧水頭症では典型的なCT、水頭症の所見がありますので、一度外来受診をお勧めします。診断と説明を納得いtだければ、迅速に手術治療を行い、数日で症状は回復します。入院は1週間ほどです。
  • 失禁: 上述した正常圧水頭症・慢性硬膜下血種により起こる症状です。こちらも迅速な診断・治療により通常の生活に戻ることがきます。心配な方は早めの受診をお勧めいます。
  • めまい・ふらつき: 上述した疾患に加え、脳腫瘍があります。脳腫瘍も良性から悪性腫瘍まで様々ありますので、精密検査の診断が済みましたら、迅速に腫瘍摘出、病理診断、その後の化学療法、放射線療法の有無について検討します。現在北海道がんセンターと共同で治療を行っています。
  • 耳鳴り・難聴:上記診断のなかで良性腫瘍ですが、特に聴神経(耳の神経)近傍に発生する腫瘍があります。これは慎重な摘出術を行うことににより症状は消失します。良性ですので、無理に腫瘍の全摘出を行わず、まず精密検査(聴力検査、MRI、CT)などを行い、その結果を話し合いの上で治療方針を決定します。

脳の病気:脳血管障害・機能疾患・脳腫瘍など

  • 動脈瘤とクモ膜下出血
  • 脳梗塞; 脳血栓・脳塞栓・頸動脈狭窄症
  • モヤモヤ病
  • 脳内出血
  • 脳動静脈奇形 (AVM)
  • 三叉神経痛
  • 顔面けいれん
  • てんかん
  • 脳腫瘍:悪性/良性腫瘍
  • 頭部外傷
  • 脊椎・脊髄疾患

脳動脈瘤 

未破裂脳動脈瘤について 

脳動脈瘤は破裂してクモ膜下出血を起こします。今はMRIにより"破裂前"脳動脈瘤が発見されます。
 

未破裂脳動脈瘤治療の目的は、クモ膜下出血の予防です。I) クモ膜下出血になった、II) 動脈瘤による圧迫でめまい・眼が開けられない等の症状がでたときは、緊急治療が必要です。 

 

症状のない動脈瘤 

1)       未破裂脳動脈瘤の大きさ・形状などを調べる。 

2)       脳動脈瘤最大径が5mm 以上 、75歳以下では手術的治療が勧められます。

3)       手術をしない場合は、約6ヶ月以内に画像による形状の変化を観察します。サイズ増大あるいは突出部(コブ)の形成がでたときには治療を勧めます。 

未破裂脳動脈瘤破裂する危険率は1%弱と考えられ、年齢、血圧、合併症などの要因を考慮して判断します。 

クモ膜下出血

未破裂動脈瘤が破裂するとクモ膜下出血となります。その結果出血が頭の中に溜まり頭蓋内圧が急激に上昇します。この程度による33%が手術不能、33%が後遺症が残り、33%の患者のみが社会復帰をはたせます。

破裂前の治療が重要です。

[ここからは病気の詳細] なので読み飛ばしても良いです。
  動脈瘤破裂後24時間以内に再破裂・再出血のピークがあり(4.1%),以後,一日1.5%の再出血率で発症後14日間の総出血率は19%に及びます.発祥14日以後発症率は漸減して行きますが,50%が発症後6ヶ月以内に再破裂・再出血を起こし,その後は一年間に3%の再出血率となります.正常な状態で生存する人は発症後10年目でわずか約20%にすぎません。
  患者さんの予後(将来の状態)を判断する一つの目安が、発症時の意識障害の強さの程度です。この重症度に応じて手術適応、手術時期などを考慮して初期治療を進めていきます。発症後に予後を悪化させる原因としては脳動脈瘤の再出血と遅発性脳血管攣縮が重要です。特に脳動脈瘤の再出血は高率に予後を悪化させます。現在の医療水準でもクモ膜下出血の患者さんの死亡率は約45%と報告されています。
 

脳動脈瘤の治療

1.この治療の目的
治療の目的は脳動脈瘤が破裂・出血することの予防です.
予防処置としては開頭による外科的治療と開頭を要しない血管内治療を行う方法があります。

  i) 外科的治療は、クリッピング術が標準治療となります。小開頭で脳動脈瘤の頚部に特殊なクリップをかけて脳動脈瘤を閉塞して血流が行かなくなるように処置(クリッピング術)で脳動脈瘤の再破裂・再出血を防ぐ脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血における確立した標準的な治療法です。

ii) 血管内治療は、足の付け根の血管からカテーテルを入れて頭蓋内の目的とする脳動脈瘤まで誘導し、カテーテルからコイルを瘤内につめます。
  ただし、頚部の広い動脈瘤や大きな動脈瘤(10mm以上)ではコイルの親動脈への突出や不完全閉塞、再開通が多くみられます。また、治療中に動脈瘤が再破裂したな場合、外科的治療であれば迅速に処置できますが、遠隔操作を行う血管内治療では、対応が困難な場合もあります(下に図があります)。

  無症候性未破裂脳動脈瘤の治療成績は,外科的治療で社会復帰94%,後遺症6%,死亡0%,血管内治療では社会復帰93%,後遺症0%,死亡率7%と報告されています。
  25mm以下の内頚動脈系の無症候性脳動脈瘤の平均的な治療成績は死亡率1%,後遺症発生率5%程度と考えられます.治療には、年齢、合併症の有無、治療の難易度などを総合的に判断して患者さん・ご家族とともに方針を決定していくことになります。
 
3, 代替可能な治療
薬剤や放射線などによる代替可能な治療法は,脳動脈瘤の根治療法に関してはありません。

4.治療を行わなかった場合
この治療を受けない場合、脳動脈瘤の破裂・出血によりクモ膜下出血を起こす可能性があります。未破裂脳動脈瘤の破裂率は年間1~2%と報告されています.現在の医療水準でもクモ膜下出血の患者さんの死亡率は約45%に達すると考えられています。
この段階で治療を受けない場合、今後外科的治療をあらためて希望されても結構ですが、年齢や全身状態などの状況によりを考慮して方針を決めます。 

動脈瘤クリッピング術

イラスト一覧

脳梗塞

内頚動脈狭窄症


症状:一過性、または数週間つづく片麻痺、失語を繰り返す。頚部内頚動脈の内膜の肥厚、炎症による不安定なプラークの形成が起こる。この不安定なプラークのあることで徐々に脳梗塞が進行します。動脈硬化は全身病ですから、両側の頚動脈を含め、心臓を栄養している冠動脈なども狭窄している可能性もあります。このため、脳梗塞、心筋梗塞のリスクがあるため、下記に示した抗血小板薬を飲み続ける必要があります。

1)この狭窄進行を予防するには抗血小板薬(バイアスピリン、クロピトグレル、等)を服薬して経過観察をする。もしも、糖尿病・高コレスレロール・喫煙などリスクのある方は事前にMRI検査を受けたほうが安心できます。
 

内頚動脈内膜剥離術

しかし、上述した症状の悪化、繰り返すようであれば、内頚動脈の狭窄部位の内膜を切除する(頚部内頚動脈内膜剥離術)。入院期間は約10日です。(下図参照)

内頚動脈内膜剥離術

前頚部(下顎より下)に5-7cmの皮膚切開を行います。総頚動脈(内頚・外頚動脈より心臓側)を露出して、狭窄のある内頚動脈内のプラークを遠位側まで(赤矢印)露出する。一時的に頚動脈を遮断し、そのときには脳への血流を温存するため、内シャントチューブを留置します。内頚動脈を切開して、血管壁の肥厚、血栓を血管壁より剥離して、血管内腔をきれいにします。その後ナイロン糸により連続縫合して血管吻合を行います。手術時間は2-3時間ほどです。輸血は必要ありません。

カテーテル治療

カテーテルにより狭窄部位にステント留置、血栓回収などを行うこともできます。これは狭窄部位のプラークの性状、不安定性などを考慮して、治療方法を決定します。術後は決選2種類の抗血小板薬を数か月の服用になる点が胃潰瘍などのリスクは増えます。

アテローム脳梗塞:高血圧、導尿病、高脂血症などの合併症をもつ方が、頭蓋内、頸部動脈が狭く、閉塞するめ起こります。なるため、通常は抗血小板薬(バイアスピリンなど)を服用した予防します、

心原性脳塞栓:60歳をこえた方で、頻回に不整脈のある方は、心臓に血液のよろみができて頭蓋内血管にとんで脳梗塞を起こします。発症後4時間以内ならば、tPAとい塞栓溶解薬を投与し、それでも再開通のしない時はカテーテルによる塞栓回収術を行います。この型の脳梗塞は時間との勝負であるため、救急隊などから当院に至急連絡ください

心原性脳塞栓:ビデオ
不整脈のある心臓でできた血の塊が脳の血管に移動して、特に脳内の大きな血管に詰まります。このため、症状は非常に悪くなるため。一刻も早くtPA(血栓溶解薬)の注射、または、カテーテルによる血栓回収術が重要です。この型の脳梗塞は時間との勝負であるため、救急隊などから当院に至急連絡ください。

モヤモヤ病 (脳梗塞・てんかん)

現在でも原因が不明です。患児の脳への血管が狭くなってしまい、代わりに細く弱い血管が発達し、いわゆるモヤモヤ病という病気です。細く弱い血管(モヤモヤ血管と呼びます)だけでは、脳が必要とする充分な血流がまかないきれずに、時々、手足の力が抜けたり、しびれ感が出現したりします。ひどい場合にはけいれんを起こしたりすることもあり、この状態を放置すると脳梗塞になるリスクがあります。モヤモヤ病では、泣いたり、熱い物を食べるときに口で冷ましたり、楽器を吹いたり、走ったりなどの呼吸が速く炭酸ガスが体から抜ける状態になると、脳の血流が低下し、症状を出しやすくなります。手術には、主に皮膚の血管を脳の血管にバイパスして血流を増やす方法(直接的血行再建)と、皮膚の血管や筋肉(側頭筋)や脳を包む膜(硬膜といいます)などで、自然な形で脳への血管の新生をうながす方法(間接的血行再建)があり、この組み合わせを行う場合もあります。


2)治療

脳の血流が低下し、この状態では血圧変動や過換気でさらに血流低下が起こると”脳梗塞”になってしまいます。このような状態の方は、迅速な血行再建術をお勧め致します。

 

3)治療の内容

頭蓋骨をはずすと、その下に脳を包む硬膜があります。この硬膜を切開して脳の表面を露出します。

直接的血行再建の場合

皮膚から浅側頭動脈とよばれる血管を約8センチ程度はがしこれを脳の表面の血管に吻合します。通常この血管は2本あるため、2か所バイパスを行います。この動脈の太さや走り方は個人差が大きく、中にはとても細い方や、1本しかない方もおられます。脳の表面の血管(中大脳動脈という血管の末梢)を手術用顕微鏡を用いて、丁寧に血管を吻合します。

 

間接的血行再建の場合:
皮膚の血管をはがしてその下にある筋肉(側頭筋)とともに、脳表面に移植します。

通常、これらの組織から、自然に脳表面の血管への交通ができ、脳への血流が増加してきます。
直接バイパスは行いません。

  

4)治療に伴う合併症とその程度

治療によってきたされうる合併症は
①  通常は問題なく症状も出ません。

②  1)虚血性合併症

術後に吻合面での血栓形成によるバイパスの閉塞がおこる場合があります。これまでにこの手術でバイパスが閉塞した例はありませんが、危険性はゼロとはならないことをご理解頂きたいと存じます。

      2)過灌流

急に血液の流れが増加するために、頭痛やけいれん発作、脳内出血を起こすこともあります。ここで一時的に麻酔薬を使って再び脳を休めながら血圧を高くならないようにコントロールします。人工呼吸器を使った管理になることもあります。この様な管理は脳が落ち着く術後約1週間まで続きます。

      

5)予想している治療と代替え可能な治療法

内科的治療となり、これまで同様、抗血小板剤というお薬を中心とした治療となりますが、このお薬が将来のモヤモヤ病による脳梗塞のリスクを下げてくれるかどうかは、わかっておりません。 

下 記 に 手術前後の血管撮影増を供覧します。   

脳内出血

一般的には高血圧が背景にあります。突然脳内の血管が破れて、脳組織内に血種をつくります。
意識障害、片麻痺、右失語、など様々ありますが、”突然発症”のため脳卒中といいます。

"意識障害"があらわれた時には命を救うことために 開頭、血種除去を行います。

出血の原因には上述した動脈瘤、モヤモヤ病、下記に説明する動静脈奇形などの血管異常が合併しているときがあります。

脳動静脈奇形(AVM)

脳動静脈奇形とは、脳に発生した血管の奇形(異常血管の塊)を示します。本疾患は正常血管から分岐する異常血管だけを分離して、脳内に埋まっている血管の塊を摘出するので、摘出術の技術的難易度は高く、奇形の発生部位によってはいろいろな脳障害が発生する可能性があります。大きさ、部位などから、個別の手術適応を慎重に決定する必要があります。特に栄養動脈が多く、血流が豊富なAVMでは出血、脳梗塞の危険性も増します。


脳動静脈奇形画像と手術

治療法

1,放射線線治療:3cmほどの直径のAVMであると、ガンマナイフなどの局所に高線量をかけることで、栄養動脈が閉塞します。しかし、この方法では効果が現れるのに1-2年ほどかかります。また、局所への高線量の放射線を照射することによる”放射線性壊死”が起こることがあります。

2,開頭・AVM摘出はすでに確立した方法です。手術前にカテーテル治療で血流の早い血管を詰めて血流を減らし、その後開頭後に周辺の栄養血管を丁寧に凝固、切断していきます。導出静脈への血流がほぼなくなった状態で、一塊としてAVMを摘出します。脳腫瘍と異なる点としては、AVMに切り込んで、細かく部分分け摘出することができません。また、AVMの存在している部分が、言語、運動、記憶機能など重要な部分に存在しているときには、放射線治療を選択することもあります。

左が頭部CT,右は頭部MRIです。頭部正中近くにCTでやや白い病変(AVM: 青矢印)とMRIではAVM周辺がやや白く脳がむくんでいるのがわかります。この患者様はAVMのために左下肢が動かなくなっていました。

AVMへの流入血管、導出血管の精密検査のための、脳血管撮影です。青矢印がAVMです。

術前:AVMの流入・導出動脈をすべて見ることができる三次元CTです。造影剤を静脈から投与して1分ほどの撮影で、すべての血管を確認することができます。

術後:同様に3D CTによる動脈・静脈の状態の確認です。摘出後ですので、AVMは消失していることがわかります。

これは特殊な蛍光色素(インドシアニングリーン)を手術中に静脈投与した術中血管撮影です。流速が早い血管が赤く写るように計算しているため、まず流速の早い血管から切断をおこなうことで安全な手術が行えます。この血管撮影法はすでに保険認可されているととともに、このカラーマップ処理などは筆者が特許を取得しています。

顔面けいれん

微小神経血管減圧術 

症状:片側の顔面筋、特に眼・口角周辺の筋肉がかってにぴくつき、けいれんする。緊張・疲れで増悪することがあり、目が開かない、食事・緊張などでけいれんが誘発されます。

原因:顔の運動を支配している顔面神経に脳血管の一部、まれに脳腫瘍が圧迫していることが原因です。診断はMRIでできます。

治療:微小神経血管減圧術

脳神経外科の手術によって治る病気です。この圧迫を解除することで完治します。入院期間は約10日です。
手術のときには顔面神経を電気刺激ででる異常な筋収縮が消失することで治療効果の判定を術中に行います。

備考:顔面けいれんの初期症状は片側の眼瞼周囲の筋肉のぴくつきから始まります。両側の眼瞼のぴくつきや、以前顔面神経麻痺にかかった方はその回復過程で似たような症状になることがあるので、主治医とよく相談してください。

顔面けいれんは、脳神経外科治療の対象として気づかず、

長煩いをしている方もいます。早期の治療をお勧めします。

[薬物治療]
ボトックス注射:筋肉の硬直が緩む薬液を眼輪、口輪筋周辺の筋肉に注射します。筋肉の収縮をゆるめることで、けいれんを抑えることができます。しかし、ボトックスの効果は3-4ヶ月間であるため、繰り返し外来で注射を行う必要があります。

 顔面けいれん 3D画像 (顔面神経:灰色、圧迫血管:赤)  顔面けいれんモニタリングと実際の手術イラストレーション


  

顔面けいれん

顔面けいれん
3D画像 

(顔面神経:灰色、
圧迫血管:赤)

顔面けいれ
んモニタリング・
手術イラスト

手術前

左顔面けいれんを10年間煩っていました。

手術後8日目

顔面けいれん消失。笑顔も問題なし。


三叉神経痛

微小神経血管減圧術

症状片側の顔面、特に口唇、眼の下などに走る電撃痛を繰り返します。右、または左の顔面に限局すすることが多く、食事などの圧迫により痛みが誘発されます。痛み止めが奏効することがありますが、原因は顔面痙攣と同じく、顔面の感覚をつかさどる三叉神経への血管の圧迫です。MRIで診断が可能であり、手術治療により約10日で退院できます。この血管の圧迫を解除することで完治します。

 

手術治療:耳の後ろに約5cmの縦皮膚切開、2cmの頭蓋骨に孔をあけます。三叉神経の走行を確認して、圧迫している血管をテフロンシートを巻き付けて、三叉神経圧迫部を減圧を行います。

 服薬などで一時的に症状は軽快しても、やがて薬物の効果が少なくなってくる例もありますので、全身状態に問題がなければ手術治療が確実な治療となります。

 

[薬物治療]三叉神経痛には、まず薬物治療を選択します。

1,    まず、テグレトール(カルバマゼピン)、この効果があるということは三叉神経痛の診断となります。

この診断をもとに手術治療で完治することが期待できます。

2,    テグレトールは量により、ふらつき、眠気などの副作用との戦いがあります。

3,    リリカも効果的です。25mg-75mgを服用することで鎮痛効果が現れれば、こちらも診断的治療となります。

4,    いずれも”ふらつき”、”眠気”などの副作用がありますので、副作用、鎮痛作用とのバランスをみながら処方をします。

てんかん

 (先天性)

1,      乳児期から60歳代まで”ひきつけ”2をおこす病気です。特に意識がなくなること、または全身痙攣になることが近年社会的にも注目されています。

          先天的な脳の発生異常

皮質質形成異常(青矢印:てんかん異常波の頻発)(MRI左)

症状:繰り返す全身痙攣

異 常 部 (青矢印)切除によりてんかん発作消失 (MRI右)

側頭葉てんかん

II)          小児期から成人までのてんかんの主な原因

海馬硬化症 (黄色矢印:右海馬の萎縮)

症状:動悸などの前兆、意識減損(記憶がない)

 自動症(無意味な動作を繰り返す。)

 二次性全般化

“てんかん“ の診断方法

1)MRI、CT、脳波による頭部検査
2) 抗てんかん薬による治療;現在10種類以上の薬があるため、てんかんの型に合わせた処方を行います。

3) 発作が抑えられたとき:薬物治療を2年は継続します。

 

難治性てんかん 

2剤以上の薬で発作が月1一回以上の起こるとき。

薬剤抵抗性”てんかん”としての診断を行います。
 

ビデオ-脳波同時計測

約3-7日間の持続的な検査を個室にて行います。
この時には薬を減薬して、あえて発作が起きるような状態とします。
 
ビデオ-脳波同時モニタリングの実際 (下ビデオ):
下記MRI表面の黄色・黄緑色の部分が異常活動の発火をしめしています。

てんかん異常波起始部とMRI上で異常領域を切除

頭蓋内電極留置

MRI上異常がないが、てんかん波があるときは、より詳細な検査として頭蓋内電極留置をします。

頭蓋内電極留置方法

I)  術中X線を用いて、3cmほどの開頭部から電極を硬膜下に滑り込ませて位置を確認します。
II) 必要に応じて両側に電極を留置します。
III) この手術では脳組織を傷つけることはありません。

”頭蓋内電極でわかること”

I)    頭蓋内の異常(てんかん)波発射部位の正確な位置。
II)   複数のてんかん焦点では、異常波広がり状態がわかる。
III)  脳皮質電気刺激により正常脳機能分布がわかる。
IV)  電極から計測した脳皮質電位を解析することにより、脳機能の局在と各脳部位との関連を把握できる。  

つまり頭蓋内電極留置により、より正確、かつ信頼性の高い

”てんかん”診断が可能になります。

 

適切に投薬・てんかん焦点診断・脳機能局在に応じた治療を行います。

下のビデオは人の顔・アラビア語・カナを見た時の脳の活動です。全く異なる活動を観察することができます。

てんかん異常波起始部と重要な脳機能局在を明らかにします。

 (上記ビデオは視覚認知関連脳機能を示しています。)

脳腫瘍

脳腫瘍とは”通常頭蓋骨内に発生する腫瘍”のことをいいます。腫瘍の種類は100種類以上に分類されていて、経過観察のみでよい”良性”から放射線/化学療法などが必要な”悪性”腫瘍に大別されます。

以下に代表的な脳腫瘍について説明します。

まず、最も頻度の多い"髄膜腫"について説明します。この腫瘍は女性の多い傾向がありますが、摘出術には違いはありません。

脳幹部の良性髄膜腫

ふらつき、歩行障害のため、日常生活を送れなくなっていました。上段が術前・下段が術後です。脳神経が絡まっているため、摘出が困難な症例でした。

手術後1ヶ月

脳神経麻痺なく、片足立ちも可能となり、自宅退院となりました。腫瘍は良性であるため、放射線等は必要なく、摘出のみで外来通院となりました。

髄膜腫は良性腫瘍の代表疾患であり、完全摘出が重要です。しかし、場所によっては脳神経などが癒着しているため、摘出自体が困難な例もあります。”良性”であることがら経過観察となることもありますので、早めの受診を勧めます。

つぎは、神経鞘腫(良性)に関して説明いたします。


左聴神経腫瘍です。上述のように聴神経と顔面神経が患者毎に異なっていることが、本手術の最も難しいところです。また内耳道を切削ながら、顔面神経を同定するのは困難なため、電気重気を用いて顔面神経を刺激して同定します。

左聴神経聴神経です。これは内耳道を削り、腫瘍をすべて摘出しました。この症例では放射治療は必要ありません。顔面神経の損傷もありません。

海綿状血管奇形(海綿状血管腫)

病名通り、スポンジ状の海綿状の柔らかい組織と血管でできいて、悪性腫瘍であありません。大きな動脈流入はしていませんので、突然の大出血を起こすこちはありません。しかし、徐々に出血が大きくなる例もあり、その時は脳機能を温存する術式を考えます。上ビデオは緑部分が視覚関連線維です。この視覚組織を防ぐために、頭の上(頭頂部)から侵入します。

手術ビデオ:視機能を温存して、脳室内腫瘍を一塊として

  摘 出 し ま し た 。

下記は野胃神経外科独自の手術機器の紹介をします。

ニューロナビゲーション装置

術野・病変と重要な線維、機能している皮質の位置関係を瞬時に把握することができます。機能的MRI,白質画像も融合します。

三次元再構成画像

MRI,CTデータを融合して、術前に手術シミュレーションを行います。より確実、かつ安全な手術戦略をたてることができます。

トラクトグラフィー (脳白質線維画像)

脳内の重要な線維をMRIを用いて画像化します。たとえば緑は運動・黄色は言語、ピンクは視覚関連線維を表示しています。術前検査で把握できます。

リアルタイム言語機能マッピング

てんかんの患者のなかには、一時的に頭蓋骨の下に電極を埋め込み、てんかんの発生源(焦点)を厳密に見つけることを行います。このときに、言語・運動・記憶課題などを行うことで、従来知り得なかった個々の患者様の脳機能分布を知ることができます。これはオーストリアのGuger technologies社と共同で10年間の研究の結果完成しました。日本ではこの装置で適切に機能局在ができるのは、恵み野病院のみです。

悪性神経膠腫(Glioglastoma)

典型的は神経膠腫(脳原発腫瘍)

脳内に存在して、腫瘍周辺部のみが造影効果(指輪状造影効果)を示している。一般的には言語機能を保つために”覚醒下手術”:手術中に術者と患者が会話えをしながら腫瘍を摘出します・

覚醒下手術の手術室シーン

術者・助手・課題を評価する医師、ナビ下ションを操作する医師、さらに経験をつむために多くに医師が参加します。

悪性神経膠腫 手術後

覚醒下手術により、言語・運動機能は温存することができ、術後5年経過しても再発はありません。遺伝子検査の結果にもよりますが、この症例は予後がとてもよかった症例です。

新たなチャレンジは私たちの原動力です。より良いサービス提供を行うことが喜びであり、楽しくも真剣に取り組んでいます。

新たなチャレンジは私たちの原動力です。より良いサービス提供を行うことが喜びであり、楽しくも真剣に取り組んでいます。

新たなチャレンジは私たちの原動力です。より良いサービス提供を行うことが喜びであり、楽しくも真剣に取り組んでいます。

新たなチャレンジは私たちの原動力です。より良いサービス提供を行うことが喜びであり、楽しくも真剣に取り組んでいます。

ここで自分についてや事業内容、特筆したいポイントなどを紹介しましょう。長くなりすぎないよう簡潔にまとめるとよいでしょう。

鎌田恭輔 脳神経外科

Kyousuke Kamada M.D., PhD., Neurosurgery 

豊富な手術経験と多くの科学論文執筆より得られた、精細、かつ論理的脳神経外科手術をしています。また、北海道大学、東京大学、等での豊富な経験より困難な症例への臨機応変な対応・治療が可能です。外来では治療方法を患者様が納得がいくまで説明していきます。脳、脊髄、末梢神経、痛みなどに不安のあるかたは、一度ご相談ください。

鎌田恭輔

筆者履歴


1992年-1994年 北海道大学 電子科学研究所 客員研究員 

1995年 北海道大学 医学博士号を取得

 Erlangen-Nürnberg大学(独)留学,フンボルト財団奨学生

1997年 ジョージタウン大学(米)、助手 勤務

2009年10月-2016年3月 JST さきがけ研究員(脳情報の解読と制御)

2017年6月 スタンフォード大学~(米 脳神経外科客員教授)
2019年3月 北晨会 恵み野病院 副院長
2019年4月 ATR 国際電気通信基礎技術研究所 客員研究員
2019年9月 自治医科大学 医学部 客員研究員


臨床専門:脳腫瘍手術(脳機能画像と術中モニタリング)

脳血管障害手術(血行再建術、脳動脈瘤治療)、

機能的脳神経外科(顔面痙攣、三叉神経痛、てんかん)

 :てんかん指導医、脳卒中専門医、脳卒中の外科学会技術指導医、覚醒下手術技術認定医

言語;日本語・英語・ドイツ語

 

受賞歴:      

   1, 日本脳神経外科学会ガレーヌス賞 受賞  (平成 6年10月27日)

   2, アレキサンダーフンボルト奨学金 (ドイツ連邦共和国より) 取得                              

   (平成 7年12月 1日より2年間)  

   3, 北海道医学賞 受賞 (平成 9年 3月27日) 学位論文

   4、高松宮妃癌研究基金(平成18年2月)

   5、東京大学脳神経外科同門会賞(平成19年)

   6、北海道知事賞(平成29年)

   7、北海道医師会賞(平成29年)

臨床研究


1992年-1994年 北海道大学 電子科学研究所 客員研究員兼任 

1995年 北海道大学 医学博士号を取得

 Erlangen-Nürnberg大学(独)留学,フンボルト財団奨学生

1997年 ジョージタウン大学(米)、助手 勤務

2009年10月-2016年3月 JST さきがけ研究員(脳情報の解読と制御)

2017年6月 スタンフォード大学~(米 脳神経外科客員教授)
2019年3月 北晨会 恵み野病院 副院長
2019年4月 ATR 国際電気通信基礎技術研究所 客員研究員
2019年9月 自治医科大学 医学部 客員研究員


臨床専門:脳腫瘍手術(脳機能画像と術中モニタリング)

脳血管障害手術(血行再建術、脳動脈瘤治療)、

機能的脳神経外科(顔面痙攣、三叉神経痛、てんかん)

 :てんかん指導医、脳卒中専門医、脳卒中の外科学会技術指導医、覚醒下手術技術認定医

言語;日本語・英語・ドイツ語

 

受賞歴:      

   1, 日本脳神経外科学会ガレーヌス賞 受賞  (平成 6年10月27日)

   2, アレキサンダーフンボルト奨学金 (ドイツ連邦共和国より) 取得                              

   (平成 7年12月 1日より2年間)  

   3, 北海道医学賞 受賞 (平成 9年 3月27日) 学位論文

   4、高松宮妃癌研究基金(平成18年2月)

   5、東京大学脳神経外科同門会賞(平成19年)

   6、北海道知事賞(平成29年)

   7、北海道医師会賞(平成29年)